保険

保険は相続対策に有効です

2021.02.10 ファイナンシャルプランナー 新井 明子

私は日ごろから、相続を争続にしないためには保険を正しく活用するべきと思っています。その理由や方法を今後ブログでわかりやすく書いていきたいと思います。

さて現在、遺産分割をめぐるトラブルが年々増えていて、家事調停や審判の新受件数は平成30年には15,000件と昭和30年から6倍に増えました。これは、平均寿命が延びたことや核家族化など色々な理由があると思います。

平均寿命は、2019年には男性81.41歳、女性87.45歳でした。平均寿命は0歳における平均余命という意味で、言い換えると0歳児が何歳まで生きられるかを統計的に予想した数字です。

今の私たちがあと何年生きるかは平均余命表で見ます。例えば75歳の平均余命は、男性12.41年 女性15.97年 85歳の平均余命は、男性6.46年 女性8.51年です。相続対策+長い老後生活の準備も必要だと申し上げたいです。

1.遺産分割準備

「だれに」「なにを」「どれだけ」残すかを考えましょう。 
遺言で被相続人の意思を残すことが大事ですが、遺言が絶対ではありません。民法では「相続財産は相続人間の協議により自由に分割できる」とあります。

遺産分割協議により決めることができますが、上手くまとまらないこともあります。それが先述しました調停や審判となります。

遺産分割協議の目安になるのが、法定相続分です。例えば、配偶者と子供2人の場合は、配偶者2分の1 子どもはそれぞれ4分の1です。養子がいる場合など特殊なケースもあります。

相続人には遺留分があり最低限の遺産を受け取る権利があります。(兄弟には遺留分はありません)

遺留分を侵害して相続割合を遺言で決めると、遺産分割協議でもめることもあります。遺留分は法定相続分の2分の1です。先述の例でみますと配偶者は4分の1、子ども2人の場合はそれぞれ8分の1になります。

もめてしまうと10か月の納税期限に間にあわなくなり、小規模宅地の特例や配偶者控除が使えなってしまい、相続税が予想以上に高くなることもあります。
誰に渡すか決めることは大切なことです。

2. 現金の準備

相続発生後、お葬式代や相続税を払うための現金が必要になります。

被相続人が亡くなると口座が凍結されて引き出しができなくなります。民法改正では各相続人が銀行窓口で預金が引き出せるよう制度化されましたが、普通の預金のようには簡単に引き出せません。生命保険と比べるとまだ面倒な面があります。

*平成29年の消費者協会アンケート調査では、葬儀費用は、約195.7万円でした。昭和の比は300万円と言われていましたので、それでも減りました。

相続発生から相続申告、納税までのスケジュールは意外とタイトです。役所への様々な届出、相続放棄、準確定申告などしているうちにあっという間に10か月が経ちます。

例えば相続財産が不動産だけの場合、売却に時間がかかったり、足元を見られて売値を下げられることもあります。また財産が自社株だけの場合、金庫株として売ることも出来ますが買取資金を準備しておかなくてはなりません。

次に現金があった場合も、銀行からの引き出しには時間がかかります。2019年7月1日民法改正で「預貯金の払い戻し制度の創設」が施行されました。預貯金が遺産分割の対象になる場合に、各相続人は、遺産分割が終わる前でも、一定の範囲内で預貯金の払戻をうけることができるようになりました。

そのメリットは、以下の通りです。

遺産分割における公平性を図りつつ、相続人の資金需要に対応できるよう、預貯金の払戻制度を設ける。

1. 預貯金債権の一定割合(金額による上限あり)については、家庭裁判所の判断を経なくても金融機関の窓口における支払を受けられるようになりました。

遺産に属する預貯金債権のうち、一定額については、単独での払戻しを認めるようになりました。

(相続開始時の預貯金債権の額(口座基準))×1/3×(当該払戻しを行う共同相続人の法定相続分)=単独で払戻しをすることができる金額です。

(例)預金600万円→長男100万円払い戻し可能。

*ただし、一つの金融機関から払い戻しが受けられるのは150万円までです。

2. 預貯金債権に限り、家庭裁判所の仮分割の要件を緩和する。

仮払いの必要性があると認められる場合には、他の共同相続人の利害を害しない限り、家庭裁判所の判断で仮払いが認められるようになりました。(家事事件手続法の改正)

以上のように今回の民法改正で預貯金の払い出しは容易になりましたが、必要書類の準備はしなくてはなりませんし、金融機関の窓口ですぐ現金が受け取れるわけではありません。

その点、保険は受取人固有の財産ですので、共同相続人や家庭裁判所の許可の必要もなく現金が受け取れます。

保険金が即日受け取れる「保険金クイックサービス」という制度を設けている保険会社も何社かあります。

即日払い可能な最大金額は保険会社により違いますが、1500万円としている保険会社もあります。支払は、午前11時までに完備した書類が到着した場合、当日に支払いますというもので、米ドル建ての保険も対象です。

必要書類は、保険金請求書と死亡証明書類です。死亡証明書は死亡証明書もしくは死亡診断書もしくは死体検案書になります。以上の支払金額や受付時間、必要書類は保険会社により違いますので、一度ご確認頂くことをおすすめします。

あと大事なことは、保険契約の「家族登録制度」が設けられています。

「家族登録制度」とは、契約者以外のご家族を登録しておくことによって、ご家族が保険契約内容を知ることができます。

現在は個人情報がありますので、たとえご家族でも契約内容を教えることはできません。これは覚えておくべきことです。この制度に登録できる家族は、保険会社によっても違いますが、戸籍上の配偶者や3親等以内の親族や、被保険者の療養看護に努め、または財産管理を行っている人も登録できます。

例えば、がん保険に加入しているのに、がん告知が本人にされていない場合や、認知症になってしまった場合などです。「家族登録制度」に登録されただけでは、給付金の請求や受取はできませんので、ご注意下さい。

3. 相続財産の評価

被相続人がお亡くなりになったらいくら相続税がかかるのか、またかからないのか事前に知っておく必要があります。

基礎控除、小規模宅地の特例、生命保険金控除、死亡退職金控除、配偶者控除などの控除を知っておくことと、どのようなものが相続財産になるか知っておく必要があります。

*他にも、未成年者控除、障害者控除、相次相続控除があります。
*平成30年相続税の平均納付額は、約1,813円でした。(国税庁HPより)

相続財産の評価をするのは、実際相続税がかかるのか、かかるとしたらいくらか、それにより対策する必要があるかを検討するために必要があります。

まず、相続人の特定、相続財産を特定します。

相続財産になるものには、現金、預貯金、債券・投資信託、株式、土地・家屋など不動産、ゴルフ会員権、自家用車、家財、美術品、死亡保険金、死亡退職金、相続人に3年以内に贈与した財産、相続時精算課税制度を利用して贈与した財産です。一度リストアップすることをおすすめします。

さいごに

相続税がかかるのか、財産をどうやって分割したらいいのか?

それよりも大事なのは被相続人の想いだと思います。生前に想いをご家族に話しておくことは大事ですし、遺言を残すことも有効です。揉めない相続のために一日でも早く準備することをおすすめします。

この記事を書いた人

ファイナンシャルプランナー 新井 明子

ファイナンシャルプランナー 新井 明子

保険代理店 株式会社ライフ・アテンダント代表取締役
日本FP協会会員
DCプランナー
MDRT終身会員
一般社団法人相続サポート協会理事
著書「家族で話すHAPPY相続」プラチナ出版

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