不動産売却時の手続きと流れ
2020.11.30 長尾 睦子
不動産は分けにくい財産の為、相続の時に売却を検討なさる方が多いです。
新築時のマンションのような販売価格は相続不動産にはありません。一つ一つが唯一無二のものなので、目安はあるものの、需要と供給のバランスで価格は決まります。
ではどのようにすればよいのか、大まかな流れをご説明します。
不動産売却の流れ
- 売却希望の不動産の相談を受けます。(希望条件)
- 売却ご希望の不動産の調査
- ご納得を頂いたら販売方法をご提案し、売却依頼の契約をします。
- 広告を含めての販売活動を開始します。
- 買主様が見つかったら売買契約の締結をします。
- 代金の受領をし、売買契約時に定めた状態で物件の引き渡しをして完了です。
相続時の納税資金調達の為の売却の場合など10か月以内に完了しなければならないので、思い通りの価格で売却が出来ない場合もあります。そのためにも事前の準備がとても大切になります。
実際の手続き
実際の手続きのご説明です。
1. 売却依頼の目的
- 相続税の支払い
- 相続財産を分ける
- 資産整理
- 期間を重視
- 価格重視
- 借入金の抹消等
等のご希望に合わせた売り方になります。
2. 売買価格の算出
- 権利関係調査
- 法令上の制限
- インフラ調査
- 路線価・近隣の相場
- マンションの場合は管理状況調査等
3. 媒介契約書
媒介契約は、お客様のご希望に合わせて、下記の3種類があります。
- 専属専任媒介契約(特定の不動産会社にすべてお任せで手厚い対応)
- 専任媒介契約(特定の不動産会社にお任せだが自分で買い手を見つけてきても良い)
- 一般媒介契約(複数の不動産会社に依頼・レインズの登録は任意)
※レインズとは不動産業者がお客様からお預かりした物件を登録して広く買い手を探すネットワークシステムです。国土交通大臣指定の不動産流通機構が運営しているもので、全国の業者と情報交換が出来るようになります。
4. 販売広告・内覧・費用
基本的に成功報酬なので、広告費用はかかりません。
不動産業者の報酬は下記のように上限額が決まっています。
- 取引額200万以下の場合→取引額×5%+消費税
- 取引額200万を超えて400万以下の金額→取引額×4%+2万円+消費税限
- 取引額400万を超える金額→取引額×3%+6万円+消費税
購入希望の方がいらしたら不動産業者が物件のご案内をします。
その前に掃除をし、気持ちよく内覧をしていただけるようにしておきます。
今はコロナもあるので、バーチャル内覧用の写真、ビデオもありますが、大切な住まいの売却、購入時はやはり現地の内覧が大切になります。
5. 売買契約
必要なもの
- 登記関係書類(権利証)
- 印鑑証明書
- 住民票
- 本人確認ができるもの(免許証等)
- 固定資産税納税通知書
- 仲介手数料
- 収入印紙
重要事項説明の後に「売買契約書」「物件状況等の確認書」の読み合わせをして双方で確認をします。全ての書類に署名・捺印をしていただきます。その後買主様から手付金をいただき、受領書をお渡しして完了です。
物件調査等
住宅ローン等の残債がある場合は手続きに時間がかかるので、事前に金融機関と打ち合わせをして、抵当権等の抹消手続きを同時に行います。抹消登記は司法書士に依頼をします。
戸建ての場合は土地・建物の測量・隣地境界線の確定などの諸手続き(時間と費用がかかります)、マンションの場合はマンション管理に関する事項を明示する事が必要となります。
6. 決済・物件引き渡し
必要なもの
- 登記済み権利書または登記識別情報通知
- 印鑑証明
- 住民票
- 買主様に引き継ぐ書類(建築図面・分譲時のパンフレット・管理規約・保証書等)
- 本人確認書類
- 鍵一式(宅配ボックスカード・メールボックス暗証番号等)
- 実印・銀行員・通帳
通常は銀行の一室をお借りして行います。残金決済が完了したら登記申請の手続き(司法書士に依頼)固定資産税・管理費の日割り清算、登記費用などの諸費用の支払いをし、書類等の引き渡しで不動産の引き渡しは完了となります。
さいごに
以上が通常の流れとなります。個々の案件により行うべき手続きが変わってきますので、どうぞお気軽にご相談ください。
この記事を書いた人
長尾 睦子
マンションの維持管理の専門紙「アメニティ新聞」の発行人
賃貸経営管理士
福祉住環境コーディネーター