空き家(予定)の対応でお悩みの方へ
2021.01.25 長尾 睦子
相続・転勤等のライフステージの変化に伴い空き家になってしまう物件をご所有の方へのアドバイスです。
だれにどの様に引き継ぐのか?
ご自分が使わなくなった家は誰かに引き継がなければなりません。これは相続だけでなく、売却も含み、未来のあり方を想定して早めにご検討頂くと選択肢が広がります。賃貸需要がありそうならそのままリフォームして貸し出すという選択肢もあるからです。
売却するのなら相場よりも高めで売却したいと思います。一方で買主になる場合は少しでも安くお得に手に入れたいと思います。 業界の仕組みや営業マンのインセンティブなど理解して、トラブルにならないように、納得のできる結論を出せるように予備知識を得てください。
空き家になってからでは大変です!
- 空き家に指定されると住宅用地としての税の特例が受け取れなくなる。
- 続から3年目の12月31日までに売却しないと「空き家の3.000万特別控除」が使えなくなる。(空き家への税制措置がなくなく自治体も出来ている。)
- 不法占拠・盗難・放火等の犯罪リスクが高まる。
- 空き家は劣化が早く、修繕費がかさむ。
- 資産価値の低下。
- 土地の有効活用ができない。
などの問題が起きます。
「資産価値」とはリセールバリューのことで、つまり既存住宅を売却する価格となります。
空き家として放置することは、所有物件のみならずそのエリア全体の価値を下げることになります。
カビ防止のための定期的な掃除、換気、犯罪防止のために郵便物等の処理など管理には手間暇がかかります。自宅とは別の物件管理は意外に大変です。
民法改正のより、リセール後の保証が「瑕疵担保責任」から「契約不適合責任」に変更になりました。
隠れた瑕疵であっても契約書に書かれていることを履行しなければならなくなり、買主の請求権が従来の損害賠償、契約解除に加えて追完請求と代金減額請求が追加されました。また、既存住宅流通促進に向け、国土交通省も「安心R住宅制度」の導入や「住宅履歴情報」を残す事を推奨しています。つまり売主の責任が重くなったということです。
売却を考える時にすべきこと
まずはおおよその売却価格を知ることから始まります。その結果、売却するかどうかを判断することになります。そして価格は売却したい度合いによっても変わります。早めに売却をしたいのか、時間をかけででも高く売りたいのか?です。
不動産物件はそれぞれが唯一無二のもので、需要と供給のタイミングが大きく作用します。相続税の納税は10か月以内となっているので、売り急ぐ原因の一つとなってしまいます。
ではどのようにすれば相場が分かるのでしょうか?
1. ポータルサイトで似たような物件を探してみる
代表的なサイトは以下の3つです。
・アットホーム
・ホームズ
・SUUMO
(参考までに不動産ジャパン・ハトマークサイト・ラビーネット不動産・全住協ネット等もあります。)
ここで注意が必要なのは、記載価格はあくまでも希望売却価格です。通常は値下げ交渉などが入り、調整されるということです。
2. 土地総合情報システムを見る
ここでは実際の取引価格(成約価格)を調べることができます。このデータは、不動産を取得した方たちが任意でアンケートに回答したもの。すべての不動産取引が網羅されているものではありませんが参考になります。
3. 固定資産税評価額から逆算する
毎年5月前後に固定資産税と都市計画税の納税通知書が届きます。
この書類に土地と建物に別れて評価額が書かれています。
そしてこの金額を 0.7 で割ります。
例えば、固定資産税評価額が3,000万円なら 3000万円 ÷ 0.7 で約4,285万円となります。
固定資産税評価額は時価の7割評価を目安としているからです。
土地と建物と両方で計算して合計します。
これで、おおよその売却価格がわかります。
マンションの価格を調べるなら、東京カンテイのマンション価格情報サービスというものがあります。3千円ほどかかりますが、不動産業者からの営業もなく、固定資産税納税通知書を読み解く必要もありません。
4. 具体的に売却を検討しているなら、不動産会社に査定を依頼する
依頼先は、大手業者・地場中堅業者・ネット業者と色々なところがあります。それぞれメリット・デメリットがありますので、ブランド力・地元の地縁・ネット情報力で比較検討してみてください。どの業者もプロなので、本気で売るのなら積極的に話を聞いてくれます。単なる価格だけでなく、売り時はいつだとか、どのように営業するのかだとか、売却してお金を受け取るまでのスケジュールだったり、用意するものだったり、税金のことなども相談できます。
5. 一括サイトを利用する
不動産会社を探したり、選んだり、個別に訪問したりするのはなかなかの手間となります。一括査定サイトを使うのが便利ですが、注意点は競争が激しいので査定価格を高めに出してきやすいことと、複数の業者から営業のメールや電話がたくさん来ることです。
さいごに
実家の未来については家族の集まる時にしっかりと未来像を描いておき、いざという時に慌てずにベストな選択肢が取れる準備をしておきましょう。
不動産の売却は時間がかかるものです。お互い信頼できる関係を築いておけばスムーズな売却ができます。どこの業者が良いのかを選ぶのは難しい問題です。迷われた時はどうぞお気軽に
ご相談をお寄せください。
この記事を書いた人
長尾 睦子
マンションの維持管理の専門紙「アメニティ新聞」の発行人
賃貸経営管理士
福祉住環境コーディネーター